14通目~酒井道子さん~


★ご本人によるprofile
1967年9月27日、宮城県仙台市生まれ。結婚して福島県浪江町請戸に嫁ぐ。東日本大震災により福島市に在住。一男一女の母。2006年7月ビーズインストラクターの資格を取得。


娘が高校を卒業して思う事

中学3年の卒業式の午後、福島の浜通りで東日本大震災に遇いました。家族五人は無事でしたが、それは各々が魂をえぐられる経験だったと思います。

娘も津波・原発と避難が続き、全ての生活が一転した中、手探りの高校生活が始まりました。高校側からの温かい受け入れがあり、福島市での私と娘のアパート生活は、新体操部を含む学校への毎日の送迎が、私の震災後の優先日課となりました。朝も早く、帰りも遅く、土日も関係なく、とにかく日々「無事卒業させる事が学校への恩返しと娘への責任」と思い繰り返すだけでした。

卒業式当日、最後の日課が終わり、ホッとしたのも束の間で、いつも左後ろに座っていた娘の姿はもうないのだ~と解放感と同時に察しました。当たり前にあった姿は、思い出の中だけの姿になってしまいましたが、過ぎてしまえば、一番濃密な時間だったと思います。

娘は、東京で独り暮らしを始めました。今は大学で将来の夢を描く生活に夢中だと思います。通学電車に揺られる度に、甘えられる環境がすぐそばにあった事を思い出すのかな。なんて勝手に想像したり。

すぐそばにいた時より、離れてからの方が娘の存在を強く感じ、思い出されます。

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