【えんをつなぐインタビュー】大用由美さん

会社員、カフェ店主、占い師・・・
状況や気持ちの変化を柔軟に受け入れて、
その変化にあわせて、自分を成長させ、
しなやかに生きる大用さん


大用由美さん
占い師/元・カフェと占いのお店『drop』店主


profile
会社員を経て、2003年に念願の『café drop』をオープン。カフェのお客様を元気づけたいと、2006年より占いの勉強を始め、占い師に。2012年には、『Luna drop』として、カフェ営業後に占いの時間を持つようになり、2年ほどカフェと占いの併業をしていた。しかし、お店の大家さんの事情で建物を取り壊すことになり、2014年末に12年ほど続けてきたお店を閉店。現在は、占い師として活躍しながら、多様な可能性を引き出すために、さまざまなことにチャレンジをしている。

★大用さんのブログ http://drop0622.blogspot.jp/



子育てに、仕事と忙しい毎日のなかで、唯一ほっとできた時間。
その時感じた気持ちを大切に、カフェをオープン

―カフェをオープンするきっかけは何だったのですか?
カフェをオープンするまでは、シングルマザーとして子どもを育てながら、設計の仕事をしていました。忙しい毎日のなかでほっとできたのは、子どもが寝た後に、自分で紅茶を淹れてゆっくり飲む時間。それがきっかけで紅茶を好きになって、いろんな紅茶を飲んだり、紅茶セミナーに参加したりするようになりました。インテリアコーディネーターとしての仕事経験もあったので、「好きな紅茶とその紅茶を提供できる素敵な場所を持つことができたら・・・」と思うようになりました。

そんな時、設計の仕事で目を悪くしてしまい、このまま続けていたら、目の疲労から神経まで病んでしまうかもしれないと不安がよぎったので、会社を辞める決意をしました。「次に何をするか」と考えた時、自分の気持ちが喜ぶような、そんなことをやってみようと、「好きな紅茶とその紅茶を提供できる素敵な場所・・・カフェをつくろう!」と思い立ったんです。


―設計のお仕事をやめてからすぐに、カフェをオープンするのではなく、接客・調理・経理などさまざまな職種を経験したうえで、カフェをオープンされたそうですね。
飲食店での経験が少なかったので、百貨店内にあるカフェやファーストフード店で働くなどして、接客や調理などの経験を積みました。その後は、お店の経営や経理についてもわかっておきたいということで、飲食店の経理事務としても働きました。その期間、4年半ほどです。働きながら、製菓衛生士の資格を取得したり、いろんな飲食店に行ってお店の研究をしたりしていましたね。この経験なしに、すぐにカフェをオープンしていたら、12年も続けられなかったかもしれません。

いろんな飲食店を巡るなかで「もう1度、そのお店に行きたい!」と思うのは、お店のメニューや雰囲気よりも、店主さんやスタッフさんの人間性に魅力があるところだと感じたからです。見た目的にもかわいらしいとか、きれいとか・・・魅力のある店主さんが多いなか、「私には無理ちゃうのん」って思った時もありましたが(笑)。逆に、「お店に応じたお客様が来てくれるようになるのだ」ということを感じることができたんですよね。だから、人の真似をしたり、演じたりしたところで、無理は続かないし、お客様にとっても疲れてしまうことでしょう。「その時の自分にできることを精一杯やるしかないやろう!」と開き直れたからこその自信を持てたんです。


―「その時の自分にできることを精一杯やるしかないやろう!」と思われたとのことですが、その“大用さんにできること”とは何ですか?
いつも頭にあったのは“一期一会”です。『drop』はパッと見た感じ、入りやすいお店ではなかったと思います。そこを、ドアを押して入ってきてくださった以上は満足して帰っていただきたい・・・そのために、「私は精一杯、サービスさせていただきます」という気持ちでいました。

「会話でこんなことに気をつけよう」とか「こんな変わったサービスをしよう」とか、そういった狙いはなくて・・・ただ、ただ、来てくださったお客様が『drop』でどのように過ごしたいのか・・・お手紙を書きたいのか、手仕事をしたいのか、ちょっと眠りたいのかなど、せめて『drop』にいる間はそのことに没頭していただきたいと思っていました。





カフェで、お客様の相談や悩みを聞くなかで、
元気づけることができたらと占いの勉強を・・・そして併業

―カフェとともに、占いの併業をはじめられましたが、何かきっかけがあったのですか?
カフェをオープンした頃は、占い師になるなんて想像もしていませんでした。カフェをやるうち、お客様からのご相談やお悩みを聞く機会が多くなってきて・・・最初はお話を聞くだけでもよかったのですが、もう少し説得力を持って、お客様を元気づけることができたらと思うようになったんです。カフェをオープンしてから4年後、2007年のことです。

ちょうど同じ頃、子どもが思春期で、あまりしゃべってくれない、何を考えているのかわからないという悩みも抱えていました。子どもが何を考えているのか、占いを通して知ることができるかもしれない・・・そんな時、お客様のなかに占い師の方がいたので、「教えましょうか?」と声をかけていただいたのをきっかけに勉強を始めました。

占いを通して、いろいろわかることがあり、自分が楽になったり、変わってきたり・・・「よかったなあ」と思えたので、お客様にも占いをひとつの媒介としてお役に立てたらと占いの勉強を深めていきました。


―占い師になるというよりは、カフェでの接客のひとつとして、占いをされていたのですね。
悩みを打ち明けてくれるお客様やご相談くださるお客様に「占いを勉強しているのですが・・・」と話して、「占ってほしい」と言われたら占うことからはじめました。

同時進行で勉強も深めていきました。最初は占い師のお客様に教わっていましたが、1年半経った時点でその方から離れて独学を。尊敬する占い師のセミナーや講座を単発的に受講するほか、いろんな占い師の本やブログを読んでノートにまとめるなどしました。

そのうち、だんだんと、カフェのお客様に限らず、お客様のお知り合いの方も占うようになってきて・・・しばらくの間はカフェの営業時間の前後で、予約制でやっていましたが、2012年から『Luna drop』として、カフェの営業時間を削って占い営業を始めました。




カフェ店主として12年、占い師として7年・・・
カフェは閉店し、占い師+αを模索する日々へ

―2年ほどの併業経験を経て、2014年の閉店とともに、これからはカフェ店主ではなく、占い師としてやっていきたい・・・そう思われたのはどうしてですか?
その2年間で、カフェと占いを併業する限界を感じました。お店には、カフェを好んで来てくださるお客様、カフェと占いどちらもご利用くださるお客様、占いだけのお客様がいらっしゃいます。併業する以上は、カフェも占いも充実させていかなくてはなりません。カフェは、営業前に仕込みをしなければならないし、営業中は接客に専念します。18:00からは占いの時間になりますが、それまでに準備しておきたいことがありますし、メールでの鑑定を希望されているお客様にも対応したい・・・でも、カフェが忙しいと、占いの対応が丁寧にできないので、ストレスを感じていました。

もちろん、カフェをやっていて、楽しかったですし、面白かったですし、「やっていてよかった!」という充実感はありました。でも、占いを始めた1年後くらいには、自分の人生の次のステップとして「占い師をやっていきたい!」と思っていたんです。


―人生の次のステップとしての “占い師”。大用さんの気持ちをそこまで突き動かす“占い”の魅力とは何ですか?
私がメインでやっている占星術は、一人ひとりが生まれた時に星の配置がどうであったかを大本にしてみていきます。その人の生まれ持った性格や才能、趣味などを、まるで物語みたいに読み解くことができるんです。そこに、現在の星の配置状況が絡み合って、しんどい時期もあれば、ハッピーな時期もあり・・・星の配置を見ていけば、客観的に今を捉えることができます。

今しんどさやつらさを抱えているのなら、「今はつらい時期かもしれませんが、こうすると軽減できますよ」「こちらを活かすと、もっと伸びますよ」ということを読み解くことができるんですね。私も、自分の星の配置を見た時も「こんなに大変なものを背負って生まれてきたのに、すごく頑張ってるやん!」と自分をいとおしく思えて、救われたんです。

だから、しんどさやつらさを少しでも楽にするお役に立てたら・・・と思っています。


―占いをメインに・・・と考えながらも、「閉店後、何をするのか」についてあえて決めなかったということですが、それはどうしてですか?
占い一本でやっていってもよかったのですが、「どんな占い師になりたいのか」と考えた時、今の時点で選択肢を狭めないほうがよいのではないかと。もうちょっと自分を泳がして考えてから、今後のことは決めてもいいかなあと思っています。

最近は自分のなか“地元で仕事をする”ということもかたまってきています。というのも、現在、母親が介護施設におりますし、娘は子育て真っ最中。自分も、家族も大切にしながら働くとなると、地元を基本にしてもいいのではと思っています。

自分が経験したことのほうが話しやすいと思うので、母親であること、孫もいること、離婚を経験していること、シングルマザーであること、会社員も経験してきたことなどの経験を活かして、地元に住んでいるお母さんや頑張っている女性の相談にのることができたらいいなあと考えています。バタバタと、忙しくしている方の息抜きになればいいなあと思いますし・・・そういったことを、いろいろ考えていきたいですね。


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最後に、読者へメッセージ
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―会社員、カフェ店主、占い師・・・状況や気持ちの変化を柔軟に受け入れて、その変化にあわせて、自分を成長させ、しなやかに生きてこられた大用さん。最後に、読者にメッセージをお願いします。
頑張っている人ほど、自分で自分をルールで縛って、身動きをとれなくしてしまっているのではないかなあと思います。でも、自分のやり方などルールはしょっちゅう変えてもいいんですよ。

今ではそう言える私ですが、実は『drop』をやる前は「こうあらなければ!」「頑張らねば!」と思っていました。それが『drop』で、お客様に認めていただけたことで変われたんです。

人って、自分の存在価値や理由を、他人の対応によって見い出す・・・たとえば、自分がどんなに頑張ったとしても、他人が評価してくれないと、意味がないと思ってしまうことってありませんか。『drop』では、私がやったことに対して、お客様はスルーせずに、認めてくださったんですよね。「おいしかったわ」「ゆっくりできました」とその一言なんですが、それで私は報われました。私がやったことは無駄ではなかったんだと。そんなにしゃかりきに頑張らなくても、自分ができることを精一杯やりさえすれば、それをわかってくれる人がいる・・・それが自信につながったんですよね。そんな経験を1度でもすると、次からは自分で自分を認められるようになります。「誰もわかってくれなくても、自分が一番わかっているんだから、それで十分」というふうに。こう思えたのは、大きな経験でしたね。

私はよく自分の頭のなかで、1人ミーティングをしています。今、自分がどんな状況にいるのか、しんどくないか、苦しくないか・・・自分の心の声を無視せずに、ちゃんと聞く。しんどければ、状況を変化させることを恐れずに、変化させてみます。そういうふうに、柔軟にそれをやりながら、状況を変化させることを恐れずに。柔和でいれたら、いいと思います。


ありがとうございました。
(2015年1月7日取材)


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