13通目


こんにちは。お元気ですか?

夏まっさかりですね!蝉の声を聞くと、思い出すことがあります。蝉は土の中で8年ほど生き、地上に出たら1週間ほどで死んでしまうそうです。そのことを、高校生の時に現代文の授業で知り、衝撃を受けました。地上で鳴く蝉、その全力で生きる姿に「果たして自分はどうだろうか」と自問自答したあの夏。それを思い出します。夏というと、どんなことを思い出しますか?

いきなりですが。私、魔法使いに憧れています!

・・・なんて話すと、「え?魔法使い?」「子どもの頃の夢?」と、自分でもつっこみたくなりますが、大人になってからの夢です。

“魔法”といっても、何もないところからパッとお菓子を出したり、雲をわたあめに変えたりするものではなくて。誰かのココロを、そっと、あたたかくするような・・・感じのものです。

先日スーパーで、こんな魔法使いのおばちゃんと出会いました。娘が知らないおばちゃんと話をしていたので行ってみると、「あいさつって、大切よね。私も、朝とか、すれちがう人に、知らない人でも、あいさつをするのよ。そうしていると、だんだんと、知り合いになってくるのよね。いい、きっかけ。そういうのって、うれしいものなのよね」と。そのおばちゃんが歩くごとに、あいさつ+小さな日常会話が生まれ、周囲が、ぱっと明るくなっていくようでした。

あいさつをしてもらえると、うれしいものです。「こんにちは!」と、笑顔で返したくなります。はじめて出会う人でも、そのあいさつをきっかけに、「今日は暑いですね~」とお天気の話をしたり、「その、ブローチ、素敵ですね!」と一歩踏み込んだ会話になったり。あっという間に知り合いになれることもありますよね。

「あ、誰かが、自分のことを、気にしてくれているんだ!」と思えます。そういう実感って、生きていく上で、とても大切なことのように感じます。だって、自分はひとりじゃないんだ、みんなで生きているんだって、自分も、誰かも、いとおしく思えそうな気がするからです。

そういえば、子どもがおなかの中にいる頃。道を歩いているだけで、いろんなおばちゃんから声をかけてもらいました。「わあ、何ヶ月なの?」「楽しみね」など。その時、「いろんな人に祝福してもらっているんだ」「いろんな人に祝福されて、子どもは生まれてくるんだ」「自分ひとりじゃない。みんなに育ててもらうんだ」と思いました。

そんなふうに。私が憧れる魔法使いは「あなたのことを気にしているよ」「応援しているよ」「ひとりじゃないよ」「大丈夫だよ」と手をさしのべてくれているような気がします。

人生は楽しいことばかりではありません。辛いことも、悲しいことも、いろんなことがあります。その、すべてを生きるチカラに変えて、まわりにも感謝して生きてきたおばちゃんだからこそ、できる魔法だと思うんです。

そんな魔法使いになりたいんです、私。あなたの夢は何ですか?

小森利絵より(絵:こもりちえ)

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